青山学院大学 社会情報学部 学習コミュニティデザイン(LCD)
研究ユニット

芸術表現体験活動と
省察活動を螺旋的に繰り返すALEエール
(Authentic Learning Environment)
プログラム

  • 人間関係形成・社会形成能力

    他者を理解したり、自分の考えを
    伝えたり、他者と協力する力

  • 自己理解・自己管理能力

    自分自身の肯定的な理解に基づき、
    主体的に行動する力

を、発見・定着させる

LABOLCD研究ユニットについて

学習環境デザインを探究する

苅宿俊文 kariyado toshibumi

1955年東京都生まれ。モンゴル国立教育大学大学院博士課程修了、Ph.D.(教育学)。18年間の公立小学校教諭、大東文化大学准教授、多摩美術大学、日本大学芸術学部等の非常勤講師を経て、青山学院大学社会情報学部教授が現職。現職以外には東京芸術大学非常勤講師を兼任。文部科学省コミュニケーション教育会議WG委員、文部科学省情報活用能力調査に関する協力者会議委員等を歴任。専門は、学習コミュニティデザイン論、学習環境デザイン論、教育工学である。芸術表現体験活動(アート系ワークショップの体験)と省察活動(体験の振り返り)を行い、児童生徒の資質・能力の発見定着を目指すプログラムとしてALE(Authentic Learning Environment)プログラムを鳥取県や長野県等各地の小中学校で実践、研究している。また、社会人のための学校教育法に基づく履修証明プログラムとして、青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイナー育成プログラムを運営している。グッドデザイン賞を3回とキッズデザイン賞を2回、リアルコミュニケーションツールやコミュニケーションデザイン、ワークショップデザイナー育成プログラムで受賞している。編著書では「ワークショップと学び(全3巻)」(東京大学出版会)、「コンピュータのある教室」共著(岩波書店)等多数。

STORYこれまでの活動

Artによる学び

LCD研究ユニットでは2011年から新潟県十日町高等学校松之山分校の総合的な学習の時間においてワークショップの活動を単発的に行ってきました。この活動を体系化された教育プログラムとして継続的に実施していくために「ALEプログラム」の前身となる「Artによる学びプログラム」の活動が始まりました。

アートの3つの「使い方」

するアート = 表現する

美術・音楽・演劇・舞踊などの表現。

みるアート = 鑑賞する

美術・音楽・演劇・舞踏などの鑑賞・批評。

つかうアート = 活用する

アートを手段として他の目的を達成するために活用する。

つかうアートに着目!

「つかうアート」は、「するアート」「みるアート」を通して、他の目的に迫っていくことです。 例えば、まちおこし、コミュニティづくり、異文化交流など、アートを他の目的のために使う活動が増えてきています。その中で、私たちは学びのためにアートを活用していきたいと考えています。

「アート」である理由

アートは納得感が大切

「するアート」や「みるア ート」は自分が納得することが大切です。この納得感というのは、 自分が日々の生活で経験したことから、これがいい!と自分が感じ、考えたことを集めてできたものです。これは帰納的思考と同じです。

アートは帰納的な学び

帰納的思考は、個々の事実から共通項を見い出し、それを積み上げて納得する結論を見いだしていく考え方です。つまり、アートは帰納的な学びなのです。

社会は帰納的思考が中心

私たちが生きている社会では、 働くためにいろいろな人たちがさまざまなグループを作っています。そのとき、どの人にも、どのグループにも、共通する正しいやり方があるわけではありません。集まった人たちで、自分たちの経験を通して納得できる共通なルールやゴールイメージを作り合っています。つまり、社会で生きるということは帰納的思考が中心になるのです。

資質・能力の育成

次期の学習指導要領や学校教育で育成すべき力として国際的に注目されているのが人間関係形成 能力や自律的な能力などの資質・能力です。「するアート」や「みるアート 」を通して、自他の資質・能力を見つけていき、資質・能力を発見、定着させていくことができます。

ABOUTALEプログラムについて

ALE(Authentic Learning Environment)プログラムとは

芸術表現体験活動と省察活動を螺旋的に繰り返す教育プログラムです。児童、生徒が自身の資質・能力を発見、定着させることを目指しています。ここでいう資質・能力というのはキャリア教育における「基礎的・汎用的能力」を構成する4つの能力 のうち、「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」のことを示します。

評価モデルは、「ALEの3軸」を提案しています。「協働性」は個人・ペア・グループというコミュニティサイズについて、「創造性」は、模倣・増幅・逸脱、「メタ認知」は、自己調整学習の知見に基づき、予見・行動制御・自己内省という、それぞれ3段階を設定しています。これらの視点を組み合わせて、芸術表現体験活動や省察活動における児童、生徒の状況を見とっていく(=評価していく)ことを考えています。

今後の「ALEプログラム」の展開としては、「ALEプログラム」の方法や考え方を学校教育に普及させていくことを1番に考えています。こうした考え方に興味を持ってくださる学校や劇場などのアートに関わる団体等と共にその都度現場にフィットしたプログラムの考案をしていくことを目指します。

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