青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイン 2015

本授業ではグループでアート系ワークショップの体験(芸術表現体験活動)とそれを振り返る活動(省察活動)を行います。これらを円環的に繰り返していくことを通して、最終的には多面的な自己に気づいていくことを授業の到達目標としています。「協調による概念変化モデル」という、他者に自身の考えを伝える過程で自己変容が起こっていくという学習理論のもと授業を構成しているため、全15回の授業を通して受講生は新しい自己を発見することができるのです。
ここでは苅宿教授の講義をはじめ、授業中の学生の様子やリアルな感想などをできるだけ詳しくご紹介していきます!

vol.1 スタッフミーティングとオリエンテーション4月9日

午前中に今年度のWSD授業案について研究室メンバーで共有。

今年度のWSD授業ではワークショップの意味と仕組みを学ぶことが目的であり、「協働的学習」「省察的学習」「ポートフォリオ制作」の3つで授業を構成していく予定です。前年度同様まずは経験してみることからはじまり、その経験を省察する中で意味や意図を理解します。授業の後半は自分自身でポートフォリオ作りを行います。

今回のmtgでは3つのキーワードに関する文献が苅宿先生から配布されました。(以下)

【協働的学習】

  • 授業デザインの最前線Ⅱ 理論と実践を想像する知のプロセス
  • PBLデザインの特徴とその効果の検討
  • 協調学習支援ノートシステム「ReCoNote」が持つ相互リンク機能の効果
  • 実践共同体、学習者共同体、そして知識構築共同体:その違いはどこに
  • 知識創造実践のための「知識構築共同体」学習環境
  • 教育のアクションリサーチ 理論と方法

【省察的学習】

  • 反省的実践家としてのスポーツコーチに関する研究(Ⅰ)
  • 行為の中の省察
  • 「ふりかえり」と学習
  • 校長養成・研修におけるショーンの反省的実践家論に関する考察
  • 授業場面における教師の瞬時の判断と反省的思考
  • e-Learningにおけるポートフォリオ評価法の動向とその応用

【ポートフォリオ制作】

  • 学生参画型授業モデルの開発に関する実証研究(3)
  • ラベルを活用したポートフォリオ評価の効果についてー主体的な学習態度を養うー
  • ラベルワークを用いたポートフォリオ評価の試み
  • 子どもの自己評価の変容
  • 学習履歴を中心にした大学の授業改善に関する研究

3限のオリエンテーションでは87人もの学生が出席してくれました!
写真はないのですが…椅子が足りなくなるほど教室が学生で埋め尽くされ、アンケート回答や意気込みを記述してもらったところ多くの学生が熱い想いを書いてくれていました。1年生の頃から苅宿先生の授業に興味のある学生や映像・演劇に興味がある学生、自分を変えたいという学生など履修希望の動機は様々でした。今回選考で選ばれた42人の学生には1年間でたくさんの気づきを得てもらいたいです。
私も勉強をして、WSDの授業実践から実践知と理論知のどちらもたくさん吸収していきたいと思っています。
今日実際に学生の姿を見て1年間の授業実践、ワクワクしてきました!!

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.2 学習理論「協調による概念変化モデル」を学ぶ4月16日

今日の授業のテーマは次の3つです。

  • 社会情報学部の自己評価が低いという部分に着目した授業の目的「自分を考える」
  • 授業のスケジュール、活動時間について
  • 授業で得られるもの「協調による概念変化モデル=わかりやすい自分」

非日常体験に対する感じ方はその人のこれまでの経験によって異なり、他者との共有には時間と工夫が必要ですがこれらは「説明モデル」を使って行き来することができます。その仲介となる「説明モデル」の生成を重視したカリキュラムとなっています。

授業の最後には「ミーティンレコーダー」を使ったワークを行いました。

  • 自己紹介の話す内容を考える(5分)
  • 自己紹介(1人3分)
  • ペアにインタビューする内容を考える(5分)
  • インタビュー(1人7分)

今年度は学年別のペアにすることで夢ややりたいことについて深く質問し合い、フラットかつテーマに沿った会話が可能になりました。ミーティングレコーダーを使ったワークは昨年度も行い、好評でしたが今年度も学生が興味を示しており、使い方や場面を工夫して今後の授業にも取り入れていくことができればいいと思います。

今年度はリアクションペーパー記入の代わりにテンショングラフというものを使っています。90分の授業の中で学生のテンションがどのように変化したのか、その理由を具体的なエピソードを交えて記入してもらうシートです。このシートの記入も「説明モデル」の生成に繋がるものなので学生には毎回の授業終わりに必ず記入してもらいます。

私たちもこのテンショングラフから学生の興味関心や求めていることに的を絞り、フィット感のある授業を目指していきます。

また、新しく野中さん小野田さんがTAとして参加してくれています!
石井さん梅木さん近藤さんの3人が授業研究、園木さん岡本は実践補助として参加しています!
今後このメンバーで授業づくりを行っていきます。

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.3 多田淳之介氏による演劇ワークショップの体験5月7日

第5回ワークショップデザインの授業が行われました!
今回は多田淳之介さん(所属:富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ)をお招きして演劇ワークショップを実施しました!
演出家であり俳優の多田さんは埼玉県富士見市民文化会館キラリ☆ふじみの芸術監督に公共文化施設の演劇部門では国内歴代最年少で就任し、「演劇LOVE」という合言葉のもと地域や教育機関でのアウトリーチ活動なども行うなど、国内外問わず活動されています。

青山学院大学社会情報学部では演劇に関する授業はなく、受講生の中にはなぜ演劇ワークショップを体験するのかが疑問を持つ学生がいるのではないかということで、授業の最初に多田さんから「演出家が演技者以外の一般人に演劇ワークショップを提供する理由」をお聞きしました。
美術や音楽、書道など表現する授業と同じようにイギリスやオーストラリア、韓国ではドラマや演劇の授業が導入されているそうです。人間関係を相手になりきるという演劇的アプローチによって分析、理解する文化を持つ国もあるそうですよ!
しかし日本にはそういった授業や文化がなく、やってみようと思ったことがきっかけで今も国内外で講義やワークショップを行っているということでした。
また、苅宿先生からは「グループで演技をしながらゴールイメージを共有する過程で省察が生まれる」というお話があり、学生が演劇ワークショップを体験する意味を理解したところでワークショップが始まりました!!

今回は机を教室の両サイドに配置し、壁には先週のKJ法の模造紙を貼り出しました。

学生は何気ない会話を再現するワークの中で、各役に合った振る舞いを自分自身で考えることやグループで話し合うことで一つの劇を作り上げました。グループによって会話数や身体表現に差があり、面白かったです。

ワークショップデザインの授業では今回の回まで、全体で意見を共有したり発表したりする機会はなかったため、ワークの最後に再現劇を全体発表するときは学生から「難しい」「恥ずかしい」という声がありました。しかし、普段なかなか経験することができない授業を楽しんでいる様子でした。

人がどういうときにどう振る舞うか。普段無意識に行っていることを意識してみると見えてくるものがあったのではないでしょうか。
今回は授業の終わりに「演劇ワークショップを体験して感じたこと」についてKJ法を使って共有してもらいました。「グループ内のゴールイメージや共有したことがグループ外の人に伝わらない」「30秒が長く感じた」「何気ない仕草を演技することが難しかった」「語尾で雰囲気が変わることに気づいた」「テンポや間が難しい」などたくさんの率直な感想が見られました。

前回のKJ法が壁に貼り出されていたのを見て意識したのか、カテゴリ分けにこだわるグループが多く見られました。省察回でこの模造紙を見返したときにたくさんのことを思い出せると良いですね!

今回のリアクションペーパーには思い描いていた演劇ワークショップと違ったという意見やよくわからなかったという意見もありました。しかし、こういった意見も私たち運営側にとっては貴重な意見です。私たちも授業ごとに省察を行い、フィット感のある授業を目指していきたいと改めて思いました。

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.6 増田敦氏による演劇ワークショップの体験5月14日

第6回ワークショップデザインの授業が行われました!

前回に引き続き、ワークショップデザインの授業ではゲストをお招きして演劇ワークショップを実施しました。
増田敦さんはワークショップデザイナー育成プログラムの13期生で劇団に所属し、普段は小学校や高校でコミュニケーション教育としてのワークショップや劇団員の方に向けたワークショップをされています。
早速、増田さんによるワーク開始!今回のワークショップはアイスブレイクも含め3種類のワークで構成されていました。

まずはアイスブレイクとして“歩くワーク”をやりました!
受講生全体でのアイスブレイクはしたことがなかったので、学生は最初ぎこちなかったのですが体を動かしたことで徐々に笑顔や会話が生まれていました。
「自由に動いてください」となると教室の中心に集まる学生や端にいるスタッフを巻き込む学生など、個性が出ますね〜

次に、どんな問題も「さすが社長!」とポジティブに返す“チャンスゲーム”では驚くほど盛り上がり学生の楽しそうな声が教室中に響いていました。
このワークでは増田さんの巻き込み力に学生も私たちスタッフも引き込まれていました。終わった後の省察で増田さんがおっしゃっていたのが「学生と一緒に楽しむことをモットーにしている」ということでした。その言葉通り、学生グループの中に入っていき、場を一緒に楽しむ増田さんの姿はとても楽しそうで、場が一気に明るく賑やかになっていました。

そして、メインである「演劇のワーク」では増田さんが用意してくださった台本に学生がセリフを付け足したり変更したり、シチュエーションを工夫したりして各班内での合意形成のもと出来上がった、世界で1つの台本を使って30秒前後の演劇を行いました。
男子のみの班と女子のみの班のシチュエーションやセリフの違い、演技を立ってするか座ってするかの違いなど様々な表現方法があり学生が生き生きと演技をしていましたし、見ていた私たちもとても楽しませてもらいました。

最後に省察時間でおなじみのKJ法を使って以下の4つのテーマから2つのテーマを選んで省察を行いました。

  • ゴールーイメージの共有
  • 自分たちの良さ=強みの共有
  • 合意形成の環境
  • 役割・貢献の環境

時間がなかったのでカテゴリ分けをできなかった班が多いようですがこれまで行った3回のKJ法は来週の省察回に使いたいと考えているので、時間がなくてカテゴリ分けができなかったことも省察回のときに今回の演劇ワークショップを思い出すきっかけになればなと思います!音声や映像、提出物などすべての記録が深い省察の要素となり、経験を人に伝える際のエビデンス(証拠)となるので今後も記録を残していくことを徹底していきたいと思います。学生にもこうした学習履歴(ポートフォリオ)の重要性に気づいてもらえると嬉しいです。

この笑顔と元気が増田さんの作り出すワークショップの芯の部分になっていると感じました!
増田さんの学生と一緒に楽しむ精神は今後私も意識していきたいです!

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.7 省察回①等質的グループによってできたことを考える5月21日

先々週、先週と学生には2種類の演劇ワークショップを体験してもらいました。

  • 「グループで同じ場面を2回3回と演技するうちに1つゴイールイメージが共有できた。」
  • 「これまでのグループでの省察を意識できた。」
  • 「今回の経験から、先生が言っていた“演劇は省察で成立している協働的な活動”という意味がわかった。」
  • 「演劇を通じてグループ力を上げるにはやはり意見をどんどん出すことが大切だと思った。」
  • 「何気ない会話に設定を加えて演技するのは難しく、他の人にその設定を理解してもらうのはさらに難しいと感じた。」
  • 「意見を出し合うことで最初に共有したゴールイメージとは変化していったがそれがよかった。」
  • 「1つのものを作り上げるときにゴールイメージを共有することは大切だが難しい。自分の意見をしっかり言わなくては。」

などの感想がありました。

ここで、前回の省察回(4月30日)を簡単に振り返りたいと思います。
前回は最初に先生から、他者と協働するにはゴールイメージやお互いがあたりまえと認識している前提条件を共有することが重要であるという話がありました。先生が提示した授業資料には前回の逆転時間の学生のリアクションペーパーが数多く紹介され、学生は食い入るように他者のリアクションペーパーに目を向け、同じ体験をしても様々な考え方のプロセスがあることに興味を持っている様子でした。
また、課題となっていた「自分たちのグループを振り返って(省察して)伸ばしたい、変えたい部分を考えてください」「チームを良くするにはどうするか」という問いかけを再度KJ法を使って話し合いました。

優先すべきことは  なかよし〈 納得
グループでお互いの意見を受容し合うだけが協働ではなく納得するために自分の意見を述べ、話し合うことが大切であるという話が印象に残った学生が多かったようです。(学生のリアクションペーパーより)

授業の終わりにはMac教室でこれまでのエビデンス(映像、音声、資料データ)を配布しました。普段なかなか見ることができない自分のグループワークの様子を見るのが新鮮だったようで学生は積極的に様々なデータを見ていました。

では、ここからは今回の授業についてです。

という感想をいただいたので前回同様、学生のリアクションペーパーから感じたこと、気づいたことにコメントしていくような形で授業を行いました。
自分や友達のリアクションペーパーが紹介されると興味津々で話を聞いている様子でした。
演劇は省察で成立している協働的な学習であるという話と省察を支えるメタ認知能力の話があり、学生たちは改めて「自分たちはどんなグループなのか」についてKJ法を使って話し合いました。そして、そこから「グループのキャッチコピー」を作りました。

キャッチコピーが早く決まった班が決め悩んでいる班にプレゼンすることで、他のグループとキャッチコピーの考え方を共有しているところもありました。

また、グループを2人1組に分けて自分たちのグループのキャッチコピーを紹介しました。どのグループもこれまでの具体的な活動シーンを例に挙げて他のグループに説明しており、共有可能性の高いプレゼンでした。
授業の最初に説明された「説明モデル」のイメージが掴めた学生もいるのではないでしょうか。

全班のキャッチコピーを紹介します。
1班:遊びでしょうか いいえ、真面目です。
2班:いつ咲くかわからない冬の蕾。。。
3班:硬い頭と柔らかい空気
4班:おしゃべり4姉妹
5班:和積のシーソーゲーム
6班:Four Transmissions(sに×マーク)
7班:キョウ力 〜強・協・教・響〜
8班:四色団子
9班:言葉以上のものを送ろう
10班:具だくさんのカレーライス 隠し味は本田圭祐

受講生には協働(グループで何かをする)の場面で納得解を生み出すことができる話し合いの環境作りができる人になってもらいたいと考えています。
この授業はそのためのエクササイズです。
省察をして感じたこと、気づいたこと、印象に残ったこと、次に生かそうと思ったことを授業内で何度も試してよりよいものを見つけてもらいたいです。
エビデンスとなる映像や音声のデータを用いて、前期終了時に学生が自分の経験を他者に語れるようになってもらうことが私たちのこの授業のmissionです。

さて、来週は新グループで映像制作を行います!

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.8 上田謙太郎氏による映像制作ワークショップの体験5月28日

今回は映像作家の上田謙太郎さんのもと映像制作を行いました!

上田さんは慶応義塾大学を卒業し、東京藝術大学大学院映像研究科修士を修了しています。
映画制作のかたわら、様々なワークショップの記録やドキュメンタリーの映像制作、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムのeラーニングの制作等にも携わってきました。最近では、「調律師とピアニスト」という作品で第7回松川賞を受賞し、第17回ゆふいん文化・記録映画祭(2014)で上映されました。
また、瓦の楽器としての可能性を追求するアートプロジェクトのpromotion videoの映像を担当されています。
https://www.youtube.com/watch?v=zGUEnubcAHA

今回は今まで共に活動してきたホームグループを解体し、新グループでの活動となりました!
上田さんが今日のワークショップの流れを説明し始めると学生は興味津々で聞き入っていました。

以下の4種類の脚本を各グループにランダムに振り分けて60分間映像制作ワークショップを体験してもらいました。
「少人数の授業」作:糠塚まりや
「今がまんまる」作:堀千夏
「音がした」作:堀千夏
「水色」作:堀千夏

各グループ、監督・カメラマン・役者という役割を決め、教室を出て廊下や階段、外で撮影を行っていました。
学生の真剣な表情や自然な笑顔が多く見られたワークショップでした!

新グループでの活動ということで各グループの様子を観察していましたがどこも一人一人が意見を出し合い、「他者理解と合意形成の場」が生まれていました。脚本のセリフやシチュエーションの変更はOKというルールであったため、話し合いのもと決まった変更点を脚本に細かくメモし、こだわりを持って制作しているグループが多かったです。

人と話すのが苦手、自分はシャイだと自己紹介文で記述していた学生も役割を決めたことでやることが明確になったためか、とても生き生きした表情を見ることができました!

学生が夢中で映像制作に取り組む姿を見て、スタッフとして各班のドキュメンタリー映像を撮影していたゼミ生から「自分もやりたくなった」「すごく楽しそうだった」という声があり、5限後に同じ脚本とアプリを使って映像制作をしているところを見かけました。
私も熱中して取り組んでいる学生の姿がとても印象に残っています!

次回の授業では制作した映像の発表会があります。
どんな作品ができあがったのかとても楽しみですね!

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.9 上田謙太郎氏による映像制作ワークショップの作品鑑賞6月4日

前回行われた映像制作WSの作品鑑賞会をしました!
前回撮影した作品を一人前にしようということで作品を改めて見返し、「迫力がある」「テンポがいい」「カメラワークがいい」など自分たちの作品の良いところを具体的に付箋に書き出したものをグループメンバーと共有しました。みんな真剣に作品をチェック中!

上田さんから学生へ、Hチームのドアを開けて部屋に入るシーンの映像を使って作品編集の方法とコツが伝授され、シーンの切り替えの間やタイミングで作品の見え方がこんなにも違って見えるものか!と思いました。学生も上田さんの話に聞き入っている様子でした!

学生たちはグループ内で編集作業チームとタイトル&ログライン=一行紹介文作成チームに分かれて作業を行っていました。

今回は人数の多いEグループとFグループの机を長方形の大きいものを1つと正方形の小さいものを1つ、人数の少ない他のグループは正方形の小さなものを3つ組み合わせて配置していたのですが卓上で共同作業をするには長方形の机を使ったグループの学生同士の距離感の方が話しやすかったのではないかとグループワークの雰囲気を見て感じました。

それでは!全グループの映像作品が完成したところで早速鑑賞会スタート!

各グループの作品を簡単に振り返ってみようと思います!
Aチーム:「静かな教室」   脚本:「少人数の授業」作:糠塚まりや
〜どこにでもいる大学生とシャイな教授がおりなす日常風景。その心の距離感に注目!〜
教授と学生の距離感と沈黙の時間がリアルな感じを演出していました!

Bチーム:「THE SUN 大人になんかなりたくない。それでも僕らは近づいていく…。」   脚本:「今がまんまる」作:堀千夏
〜幼なじみ3人が贈る切ない友情物語〜
3人の言葉の掛け合いとテンポで明るく切ない物語が描かれていました!

Cチーム:「大人ってなんだろう?」   脚本「今がまんまる」作:堀千夏
〜ティーンエイジャーたちの成長を描いたポップなショートムービー〜
3人の表情から楽しさが溢れていて、見ている人を笑顔にしていました!

Dチーム:「やきそば」   脚本:「少人数の授業」作:糠塚まりや
〜よい子はきちんと調理してから食べましょう。〜
焼きそばのアップのシーンがとても印象的な作品!最後にNGシーン集とエンドロールを流し、グループの色をたくさん詰めこんでいました!

Eチーム:「少年Aの嘘」   脚本:「音がした」作:堀千夏
〜放課後に訪れるこわされた日常。あなたはもう簡単に嘘はつけない…〜
役者の演技、カメラワークが絶妙で、幽霊が出るシーンは本当にゾッとしましたね!

Fチーム:「直せないモノ」   脚本:「水色」作:堀千夏
〜放課後に起こる小さな奇跡…〜
魔法のぎこちなさと最後の先生のシーンが印象的でしたね〜役者の演技力にも注目が集まっていました!

Gチーム:「うわさ」   脚本:「音がした」作:堀千夏
〜怪奇現象に襲われた冴えない男子学生たち〜
綺麗な相模原キャンパスを生かした映像でした!幽霊役の女子の髪の長さも絶妙でしたね!

Hチーム:「不思議少年H」   脚本:「水色」作:堀千夏
〜彼の魔法に導かれ、今 君は一歩踏み出す 心温まる友情ストーリー〜
魔法が使える不思議少年Hの優しさと明るさが本当に伝わってくる作品でした!

各グループに配布した脚本は全部で4種類。同じ台本を使ったグループもカメラワークや演出の違いでグループならではの作品が出来上がっていました!

リアクションシートでも
「たとえ台本が同じものを映像化しても、その作品にとりかかる人が異なればそれは180°違う味をしたものに仕上がることを実感した」
「同じテーマでも同じ作品は生まれないのだと思った」
「同じ台本でも様々な表現の仕方があると感じた」
「映像のカットする場所など編集の仕方でも全く違うものが出来上がるということを学んだ」
以上のような感想がありました!

今回は決められた脚本を使うという制約と監督、役者、カメラマンといったように役割分担をするという制約のもとでグループワークを行ったことで自分の役割が明確になりグループの話し合いも盛んに行われていたように感じました!また、ホームグループのときとは異なり学年や性別の異なるグループ構成だったことで新しい自分に気づいた学生やホームグループで気づいたことを実践した学生もいたようです!

余談ですが、、、O118教室のこの特大スクリーン、鑑賞会にはぴったりの大きさですごくよかった〜!!

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.10 省察回②異質的グループによってできたことを考える6月11日

恒例となったリフレクションシートの紹介から授業はスタート!学生は他者の感じたことや気づきに興味があるようで視線が一気に集まります!

それでは紹介されたリフレクションシートの内容を苅宿先生のコメントとともに振り返ってみます!

「ホームグループで学んだグループ力は一つのグループではなく自分が新しいグループや環境に行ったとしても適応されるものだと感じた」
→学生の中で、異質な環境の中でも以前得たものを生かせる「学習の転移」が起きている。
 得たものをどこで使うか(転移)のイメージを持つことは重要。

「台本に目を通したあと意見交換をしたらグループのメンバーそれぞれが違う場面を思い浮かべたことに衝撃を受けた」
→等質性の高いグループだと合意形成が早いが異質性の高いグループだと自分と違う意見が出てくるためなかなか合意が生まれない。多くは“まあいいか”となるがWSデザインの授業を通して、いろいろな意見が飛び交う中で“それはどういう意味?”と合意形成を生み出す話し合いの場作り、雰囲気作りを学生たちができるようになっていると感じている。

「カメラマンを担当したが自分が取ろうとしている場面をみんなが理解してくれて良い映像ができた。イメージの共有は大切だと思った。」
→ゴールイメージの共有ができているということは相手にわかりやすくエピソードつきで話ができているということ。プレゼンでも自分が得たものをエビデンスつきで伝えることでイメージの共有ができる。

授業がスタートしてもう3ヶ月が過ぎました。リアクションシートを読んでいると、「感想」+「授業中のエピソード」を書いてくれる人が多くなりました。みんな「感想」だけだったのに!

エピソードがあるとリアクションシートを読んでいてその場面をイメージすることができます。また、感想がただの感想ではなくエビデンスのあるものに変わり説得力が増します!
毎回リアクションシートを読むのがすごく楽しいし、学生の気づきによって私自身気づきが生まれています!!

さて、今回の授業の前半では前回映像制作をしたグループで「グループのキャッチコピー」をつくってもらいました!簡単なエピソードつきで紹介していきます!

Hチーム:カラナナスープ
カラナナ=シンハラ語で「作る」という意味
スープ=いろんな具材がひとつの鍋の中で溶け合っている
5人じゃなきゃこのスープ(作品)はできない!

Gチーム:知恵の(五)輪
「知恵のオリンピック」からブラッシュアップして「知恵の(五)輪」へ
五=オリンピック&5人
主張が激しいグループで、良い意味で競い合っていた

Fチーム:6−1=0
1人が欠けると0になる
監督、役者、カメラ6人それぞれの個性が生きて作品ができた!

Eチーム:アドリブ集団
台本にとらわれない意見がたくさん出た!
思ったことを言えたからイメージの共有ができて、アドリブにつながった

Dチーム:キラキラフレッシュ青春の塊
いろんな意見を出して話が脱線したり、、、
まとまりはなかったかもしれないがそれはそれで青春!キラキラしていた!

Cチーム:NON originality YES basic.
NON originalityはイナスの意味ではなく、基本に忠実ということ 
ひとつのシーンを何度も撮り直してブラッシュアップしていった!

Bチーム:SUN 役者になんかなりたくない。それでも僕らは輝いている…。
配役決めの時は譲り合いだったがいざ撮影を始めると自分たちがどうすれば良い作品ができるか各々がしっかり考えて動いていた!

Aチーム:どんなムードにも最高のミックスを
どんなムード=演技、話し合い=いつも
最高のミックスを=学年がバラバラのグループ
個々がしっかりしていて発言がしやすく、協調性もある!

今回の授業はこれだけでは終わりません!!
ここからはホームグループに戻って(帰って)映像制作グループで感じたエピソードを話してもらいました。
「家に帰って家族に思い出話をするような感覚で話す!」をイメージして各々が映像制作グループでのエピソードを楽しそうに話していました!
さてここで初登場のエンタくん!円形の段ボールを膝に乗せてテーブルのように見立てて使います。エンタくん効果なのか、学生はいつもより声のボリュームが大きく、ラフに話をしていました!

ちなみに授業で使ったのはエンタくんの中心に穴を開けてミーティングレコーダーを差し込んだWSデザイン授業限定バージョンです!

苅宿先生からはWSデザインの授業で得たものについて久々のホームグループメンバーと話をしながら文字でも絵でもいいので紙を埋め尽くすようにダイナミックに何か描いてみてください!と、苅宿先生から学生のみなさんにやってもらいたいことのイメージの提示がありました!

漢字一文字でWSデザイン授業を表すグループ

久しぶりに会ったホームグループのメンバーと楽しく作業、会話をする様子がとても印象的でした!
来週からは個人作業(WSデザイン授業で得たものというテーマのプレゼン準備)へと移ります。

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海

vol.14 「授業を通して見えてきた自分」を紹介する7月9日

授業最終日はこの授業を通して得た5つのキーワードについて映像や写真、制作物を使って自分プレゼンを行いました!

今回は社会情報学部2年 下野紗弥さんの自分プレゼンを紹介します。

授業中は全てが新鮮で、楽しくて楽しくて仕方がなかったそう。授業が終盤にさしかかり、自分プレゼンを作成をすることになったときに改めて自分の学びのプロセスを見返し、いくつかの気づきがあった。最終的に下野さんが考えた自分キャッチコピーは「自分+α 〜自己の力を磨き続けた日々〜」でした。このキャッチコピーにたどり着いた下野さんにとっての授業での学びとは何だったのか、授業最終日恒例自分プレゼンの内容を簡単に紹介します。

▼グループ活動序盤の俯瞰ビデオを紹介 
私は初対面の人と何かをするとき、無意識のうちに人間観察をしていることに気づきました。私が人間観察をする理由は二つです。一つはグループに馴染むため、もう一つはグループでどういう立ち位置になるのか考えるためだと分析しました。人間観察をしていたおかげで、何度も同じグループになった人の紹介文は自分でも驚くほどたくさんの文量をすらすらと書いていました。グループが変わるごとに人間観察をして自分の立ち位置を考えていたため、ある時は雰囲気作りをする役、ある時はアイデアをまとめたり、+αの意見を出したりする役を担っています。

▼これまで書いたリフレクションシートをいくつかピックアップして分析
次に、考え、アイディア、見方の広がりがあったことに気づきました。映像制作のワークショップのときに同じ台本を渡されたグループが全く異なる作品を作っていたことが本当に驚きでした。一つの台本にも無限の可能性があるんですね。演劇や映像制作のワークショップを通して、「あ、こんなのもありなんだ!」「いろいろ考えられるな」と私の考え方に柔軟性が増しました。

▼キャッチコピー作成時の俯瞰ビデオ二つを並べて比較、さらに、そのときに思っていたことをリフレクションシートを使って紹介
次に、自分なりの考えの筋道が出来上がっていったことに気づきました。授業内で二回ほど異なるグループでキャッチコピーを作る 機会がありました。初めてキャッチコピーを作った時は納得したものを作るまでに四〇分もかかりましたが、二回目のときは十分で作ることができました。初めてキャッチコピーを作った時に先生からいただいた、「そのグループの一番の特徴は何?それを表すものは何かを考えなさい。」というアドバイスや他のグループのキャッチコピーを作るプロセスのエピソードをヒントに二回目に臨みました。このとき、授業中にインプットしたことをしっかり自分のものにできていることに気づきとても喜びと希望で胸がいっぱいになりました。そして、これが自分の成長だと実感しました。

▼今度は、リフレクションシートを月ごとに並べ、文量比較
次に、苦手だったことが強みに変わっている自分に気づきました。私は毎回授業後に書くリフレクションシートが苦手でした。理由は、普段自分のことを意識していないため、人に話せることがなかったからです。しかし六月頃を境に、リフレクションシートの分量が格段に増えていました。今では、自分の中で印象に残ったこと、感じたことをリフレクションシートいっぱいに書くことができています。自分の考えをアウトプットするときの切り口がわかったことと、それが習慣になったためだと思います。

▼最後は、グループメンバーが書いた自分の紹介文を一つ一つ紹介
最後に、何度も同じグループで活動した人たちが書いてくれた私の紹介文を読むと、「グループの雰囲気を作ってくれる」「常に会話の中心で盛り上げてくれる」「話のきっかけを作ってくれる」など、ここまで話した私の考えがグループメンバーに伝わっていたことを確認することができました。こうして私は自分の力を磨き続け、最終的には自分に納得することができました。

青山学院大学社会情報学部LCD研究ユニット
研究スタッフ 岡本夏海