青山学院大学社会情報学部ワークショップデザイン 2016

本授業ではグループでアート系ワークショップの体験(芸術表現体験活動)とそれを振り返る活動(省察活動)を行います。これらを円環的に繰り返していくことを通して、最終的には多面的な自己に気づいていくことを授業の到達目標としています。省察活動にポートフォリオ作成を導入することで、自他を客観的に見ることや経験を概念化することを習慣化していきます。
ここでは苅宿教授の講義をはじめ、授業中の学生の様子やリアルな感想などをできるだけ詳しくご紹介していきます!

vol.1授業の目的を理解する4月14日

昨年度まで前期後期通年で行っていたワークショップデザインとメディアコミュニケーションの授業が今年度から前期にまとめて180分続けて行うという挑戦をすることになりました!

授業の様子や内容を今年度もこのブログで紹介していきます。
早速、4月14日(木)は初回授業でした!

この授業ではアート系ワークショップの体験(芸術表現体験活動)とそれらを振り返る活動(省察活動)、自らの学びの履歴を可視化するポートフォリ作りを180分で行っていきます。
これらの活動を円環的に繰り返していくことを通して、多面的な自己に気づいていくことを目的としています。各方面(ダンス、インプロ、演劇、映像制作、メディア表現など)でご活躍されているアーティストをお招きして非日常的な身体と即興の学びである芸術表現体験活動を実施、そこで感じた自己の無意識を個人や他者との省察活動を通して、意識化していきます。省察活動では各回で様々なツールを使ったグループワークを行う予定です。学生にはこれらの過程や結果から得られた気づきをポートフォリオとして授業の後半に作品化してもらいます。

この授業をなぜやるのかというと、大きなテーマは「dividualな自己」です。なぜ自分を考えることがテーマなのかというと、自分を考えるということは自分の当たり前、自明性に気づくことが求められますが、それを個人でやろうとするのは非常に難しいことです。そこで、グループワークによる芸術表現体験活動や省察活動を通して自分の当たり前や自明性、多面的な自己に気づいていきます。これらの活動により、自律した個人として他者と協働して新しい価値を創造することの価値や面白さに触れることができるのではないかと仮説を持って授業を行っています。こうした社会で求めらている、広く言えば「コミュニケーション能力」というものを練習する場としてこの授業があります。場面によって求められるコミュニケーション能力は異なります。様々な人と協働する練習の中で、自分をどう表出するか、人をどう受け止めるかを考えていきます!

こうした活動を実際に自らが経験することが大切ですが、ただの体験学習で終わるのではもったいない!ということで、活動の記録=エビデンスをとりポートフォリオとして学習履歴を可視化する活動も行なっていきます。ポートフォリオを作ることで自分の活動や気づいたことを振り返ることで自分を知ったり、完成したポートフォリオを使って、自分を伝えたりすることができます。
また、この授業の中で学生の経験から生まれた感覚や構造を学習科学の分野に基づいた学習理論と結びつけた講義も行なっていきます。

今日の授業ではこうした授業の概要や目的についての講義の後、講義に使用したスライドがプリントされたミニカードが配布され、学生は4人1組のグループになって自分の理解したことをアウトプット、共有し合いました。その後グループをシャッフルし、それぞれのグループでまとまった内容を共有しました。

今回は初回ということで、授業の後半にビタハピを行いました!
これから様々な組み分けでグループ活動をしていく36人の受講生がビタハピというツールを使って、「何を紹介することが自己紹介なのか」という問いのもと、自己紹介を行いました。

これから、様々な活動を通して多面的な自己に出会っていくのが楽しみですね!

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.2能動的な学習者を目指す4月21日

「dividualな自己」という授業のテーマのもと、この授業で提案するのは能動的な学習者になってみようということです!ここで言う能動的な学習者とは「自律した個人として、他者と協働して新しい価値を創造する事ができる人」のことです。

自律した個人を作るにはまず、多面的な自己認識が必要となります。
そこでこの授業では多面的な自己認識を獲得できるような活動を取り入れています。

例えば、他者と協働して活動し、それを振り返ることで自分は人と違うという、一見当たり前に思うことや自分の好き嫌いを改めてわかり直すことができます。自ら何かを発信することが難しいのであれば、自分が誰かのファーストフォロワーになりおもしろさを増幅させていく意識を持って活動に参加することで、自分でも知らない自分の能力が発揮されるかもしれません。授業で何度も他者と活動することを通して、人とコミュニケーションをとるときにこうした方がいいな、これだと伝わらないな、というような感覚に気づくこともあります。このように学生には、人と協働する練習としてこの授業に参加してもらっています。 つまり、この授業のkeyword は自己を考える、知る、捉え直すです。

能動的な学習者を目指す1歩目として、ゴールイメージを持つことが重要となります。そこで、自分がどういう見通しを持って授業に取り組んでいくかというゴールイメージを学生に考えてもらい、それを「授業最終日の自分にメッセージ」というテーマのもと、ipadで映像を撮影しました。

盛りだくさんの授業の中で個性の異なる36人の学生が協働して授業に参加し、自己を考えるといっても、学習能力には個人差がありますよね。しかし、学習能力の高い低いというのものは状況依存的なもので、私たちの中で行き来しているんです!つまり、学習能力はモチベーションや意欲によって引き出されるもなので、この授業では活動の意味や目的を何度も何度も伝えながら進めていきます。さらに、同じことを様々なアプローチで伝えていきます!また、学生には様々な人とグループを組み、活動してもらうことで異なる状況で活動する経験をしてもらいます。

能動的な学習者を目指す2歩目として、代替不可能性という考え方を紹介しました。 先生から「好きな色は何ですか?」と質問され、何名かの学生が「赤」「白」「オレンジ」というように自分の好きな色を順番に答えていきます。そして、先生から再度質問をされます。「では、今答えてくれた人の中で間違っている人を指差してください」「・・・・・・。」ですよね、戸惑いますよね。このように、その人でしか持ち得ない答えというものが無限に存在します。この感覚をこの授業ではとても大切にしていきます。ワークショップやワークショップ型授業の特質は正解だけでなく納得解に意味があり、自分や他者の代替不可能性に気づくことができるという点です。

ここで、自分の代替不可能性についてマインドマップを使って考えてもらいました!
まずは1人で発想していきます。

ある程度アイデアが出たらペアで共有します。
マインドマップの線のつなぎ方には個性が出てましたね〜

能動的な学習者を目指す3歩目として、これまでもやってきましたが1人で考えて考えていることをアウトプットする経験をしてもらいます。ここではKJ法のワークを行いました。この授業で自分は何ができるようになるか、どんなイメージを持っているかについてまずは1人で考え、グループのメンバーと共有していきます。

授業の最後に、ポートフォリオをなぜ作るのかという話。
ポートフォリオは元は自分の専門性の力量を示すものでしたが、この授業では自分の学びの作品集を作っていくというイメージで取り組んでいます。例えば、KJ法をやったというシーンがあり、個々が付箋に書いたアイデアをグループ内でシェアしてまとめたというエピソードがあり、それらが集まって授業というストーリーになります。

ポートフォリオ作りでは、学生は1人1冊配布されたスケッチブックに自分が印象に残っているシーンを記録していきます。写真や授業スライドのシール、リフレクションシート、グループで作った成果物などを自由に使って自分の学びの履歴を作ります。
デジタルポートフォリオ作りではipadを使ってエピソードを記録していきます。
芸術表現体験活動中に自分はこんなことを考えていました、感じましたというようなコメントを撮影します。

スケッチブックに記録していくシーンのポートフォリとデジタルポートフォリオに記録していくエピソードのポートフォリオが蓄積されることで自分のストーリーが生まれます。つまり、約3ヶ月の授業で得たもの、自分がやってきたことをエビデンスつきで紹介できるようになります!
学生にはこれをおもしろく取り組んでほしいと思っています!
次回からは実際にポートフォリを作成していきます!

おまけ
授業後のリフレクションシートにこんな事を書いてくれている人がいました!授業最終日にこのメッセージを見るのが楽しみですね!

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.3能力仮説を立てる4月28日

今日の授業はこれまでの授業で話してきたポートフォリオを作りをメインに行われました。ポートフォリオは自分の学びの作品集としてこの授業での経験のプロセスをスケッチブックに残していきます。第2回目の授業で行ったKJ法やマインドマップ、リフレクションシート、授業風景写真、授業スライドシールの5つの資料を使って前回の授業を振り返っていきます。

ここで、ポートフォリオのまとめ方としてブックメイキングとマッピングという考え方が紹介されました。ブックメイキングは授業の時系列を大切にするため、スケッチブックの前のページから順番にまとめていきます。時間の経過が分かることで、最後に見返した時に自分の学びのプロセスを順番にたどることができます。マッピングは一度に見れること(=一覧性)を大切にするため、見開き1ページに1回分の授業についてまとめていきます。

誰かに自分を紹介するときに、短所はたくさん言えるけど長所はなかなか言えない、自信が持てないという人がいます。この授業では芸術表現体験活動という非日常的な活動により自分が持つ特質、つまり好き嫌いや得意なこと苦手なことがわかっていきます。さらに省察活動でなぜそう感じたのか、どの場面でそう感じたのかを振り返り、ポートフォリオとしてまとめていくことで経験のプロセスや授業で得たことのエビデンスが蓄積されていきます。このエビデンスがあれば、自信を持って誰かに自分の紹介することができるのではないでしょうか!また、自分にとってこの授業がどんな授業なのかを考えることは、前回のブログで紹介した能動的な学習者として授業に参加する誘因となるのではないでしょうか。授業で作成したポートフォリオが自分の特質に自信を持てるきっかけとなってくれたらいいですね!

ここで、実際に学生が作成したポートフォリオをいくつかご紹介します。

彼女はリフレクションシートの今日の授業を一言で言うと?の欄に 「意外なものがたくさん!」と書いていました。 そして、「意外性」という言葉をキーワードにポートフォリオを作成していました!

彼はリフレクションシートの今日の授業を一言で言うと?の欄に「考える事って難しいけど楽しい」と書いていました。そして、この具体的なエピゾードをポートフォリオにまとめていました!

このように縦軸をテンション、横軸を時間としてポートフォリオを作成した学生もいました!

一番印象に残ったものや授業の一言を中心にポートフォリオをデザインしていくというやり方は一覧性が高く、その日の授業を思い出すことを手助けしてくれるのではないでしょうか!

ポートフォリオ作成の後、各々が作成したポートフォリオについてグループ内でプレゼンを行いました!どのような観点でまとめたのか、どんな学びがあったのかなど各々の切り口で自分のポートフォリオについてプレゼンし、その様子をipadで撮影しました。

この後、深津絵里さんのとあるインタビュー記事をみんなで読みました。
「正しいと思っていたことの真逆に正解があるのかもしれない。」
「演技をやるには二つの面が必要だと思うんです。一つは、知的に役を解釈していくことで、もう一つは感覚で演じていくこと。」(記事より)
この深津絵里さんのインタビュー記事を読んでもらった理由は来週の田上豊さんによる演劇WSにつながる話だからです。演技をすることは要するに、自分をモニタリングすることなんです!この授業ではモニタリングを2つの切り口から経験します。1つは他者にモニタリングしてもらうこと。いろいろな人に自分を出して、見てもらって、そこのフィードバックから自分に気づく。もう1つは自分でモニタリングすること。自分のやっていることをもう1人の自分が見て、調整していくこと。こうして、モニタリングを通して自分の無意識を意識化していきます。

最後に、自分の能力仮説を考えました!

自分の仮説の能力を挙げ、授業で検証する中でそれらを書き換えていくことが目的です。 他者と協働する機会が増えている社会で、自分のできることを知っているのは大きな強みになります。

まずは一般的な能力をポストイットに書いていきます。例えば、コミュニケーション能力や発言力、理解力など。次に固有の能力を同様にポストイットに書いていきます。例えば、破壊力や胃力、女子力、男子力など。

次に、これがあったら面白い、あるだろうと思う自分の能力仮説を立てていきます。
学生の書いた中から特に多かった能力ベスト5をご紹介します!
1位7票 コミュニケーション能力
3位6票 行動力
6票 対応力
5位4票 空気を読む力
4票 想像力
4票 発言力
他に、こんな面白いものもありました!

次回は劇作家・演出家の田上豊さんによる芸術表現体験活動としての演劇ワークショップを体験します!

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.4田上豊氏による演劇ワークショップの体験と省察5月12日

今日からはこれまでの3回の授業で説明した芸術表現体験活動を実際に体験していきます。 活動を通して、自分の多面性を発見する時にお互いがそれを見つけあっていく関係、グループ、学習コミュニティ作りも目指しています。

本日のゲストは「田上パル」主宰(http://tanouepal.com)、劇作家・演出家の田上豊さんです。田上さんは教育現場を中心に、創作型、体験型のワークショップを全国各地で実施されています。今回は田上さんをお招きして芸術表現体験活動としての演劇ワークショップを実施しました。ではさっそく、活動の様子をご紹介します。

最初にアイスブレイクで鬼ごっこと椅子とりゲームを組み合わせたもの、タッチされた人がゾンビになっていくゾンビ鬼をしました。最初のアイスブレイクからとても盛り上がり、教室に楽しい叫び声が響きわたっていました!

最初は2人だけだったゾンビ鬼が徐々に増え、、、、最後には全員ゾンビに!

次にメインワークとして、田上さんから学生に穴あきの台本が配られました。まずは男子学生3人が「電車の中」という設定で田上さんが穴埋めをした台本を演じました。次に女子学生3人が「家の中」という設定で田上さんが穴埋めをした台本を演じました。男子学生3人が演じた台本と女子学生3人が演じた台本は場面と穴あき3行以外のセリフは全て同じであったにもかかわらず、まるで違う雰囲気と文脈に仕上がっていました。
ここからはグループワークで、先週組んだ4人で穴あき台本の穴に入れるセリフを話し合いました。

ここで、学生に課されたmissionは「他のチームが思いつかないような思いっきりふざけたセリフを入れる」ということです。

では、早速演じてみます!が、、、自分たちの考えた台本を演じるのではありません。
台本をシャッフルして、他のチームが作った台本を演じます!
各グループ練習中。

グループ全員でセリフをチェック。

今回は役者が3人、1人が演出家として3人をモニタリングする役を担っていました。

最後に、出来上がった演劇を1チームずつ発表していきました! モノマネ・リアルな演技・机の下や窓、廊下、スクリーン下からなどの登場場所・今話題のニュース・水中の設定・椅子を活用したセット・教室を広く使う・話す時の絶妙な間・男子が女子の役、女子が男子の役を熱演など、それぞれのグループが工夫をして演劇を完成させました。

これまでの授業は講義がメインで座った状態で行うものが多かったので、今日は学生の新たな一面をたくさん見ることができました!

田上さんの演劇ワークショップ終了後、省察活動を行いました。
最初に、田上さんのお話。
普段は演出家として活動されている田上さんですが、お仕事の時に演出家のイメージと役者のイメージが衝突するときもあるそうです。その時は実際にやってみて、徐々にお互いのイメージをすり合わせいくそうです。

例えば、友達と話すときと先生と話すとき、人によって話し方を変える人がほとんどだと思います。人によってしゃべり方を変えたりするのは根源的なことを言えば演技性の第一歩であり、人間にはそういう潜在的な才能があると思っていると。演劇WSのような活動を通して自分がどういう存在なのかを考えてもらいたいとおっしゃっていました。

この授業はdividualな自己、自分の多面性というテーマのもと進めていますが、役者や俳優の多面性については次のようにお話してくださいました。役者は3ヶ月くらいのスパンで新しい人とものを作って、表現まで行くということでかなりのコミュニケーション能力が必要です。そこが役者の大きな特質であり、仕事です。演出家は役者たちを動かさなければいけないからさらに大変な面があります。例えば、年上の方と仕事をするときに、どういう言葉でどういう共通言語をもって、どのタイミングでどんな顔をして言うかというのを常に考えています。

教育現場で演劇WSを実施することも多い田上さんですが意味を作り出していく授業について、お話をしてくださいました。触れたことがない、やったことがないことに対する恐怖感はあると思います。足が速い、頭がいい、外見がいいというようなことで友達に対するランクや教室内のヒエラルキーが決まることがあるけれども、今回のWSのように「演技としてなんか気持ち悪いけど面白い!」というふうに判断がつかない魅力みたいなものは上演芸術では時々あるんです。そういう価値もあるということが小さい頃から入ってくるといいと思う。このように、人に対する見方の一つの方向性は、演劇で示せることもあります。例えば、足が速くなくても魅了的なことは人間にはあるだろう、というように。

さて、ここからは田上さんのWSやお話を自分たちで振り返って、意味を考え、ポートフォリオ作りをしていきますがその前に、ポートフォリオ作りのための材料を2つのステップで作っていきます。

ステップ1、今日の出来事を時系列で書き出す。

各グループにA2の紙が配られ、6等分になるように折り目をつけます。演劇を考えるためにグループで集まったところから、発表会までの6つの場面を左から時系列で思い出して書き出していきます。

ステップ2、今日の活動で感じたことや考えたことを書き出す。
自分が芸術表現体験活動の時に感じたり考えていたりしたことをポストイットに書き出し、先ほど作った時系列の紙に貼っていきます。

ここで、前回のリフレクションシートでこんなことを書いてくれた人がいたので紹介しました。「自分の目で見えるものに限りがあり、他人の目で新しいアイデアや自分が思わなかったことを見つけることができることがわかった」
みなさんこういう事を既に知っている、わかっているけれども、改めてこれをしっかり自分のものにして他者に今日の芸術表現体験活動での経験を伝えることができるということをこの授業では目指しています。

では、今日は「グループの力を考えよう」「能力仮説」という2つの切り口で今日のポートフォリオを作っていきます。今日の芸術表現体験活動でも明らかになったように、すべての人にコミュニケーション能力がありますがその一言ではみなさんのリアルは語れません。そこで、人一人にとってどこが能力として重要なのかということを考えていかなければいませんね。ただコミュニケーション能力がありますと言うだけでいい場面と、自分にとってのコミュニケーション能力とは何かを言わなければいけない場面があります。自分を紹介するときにただそう思ってますだけでなく、エビデンスがあることが重要です。そのエビデンスをポートフォリオに記録として残すことと、ポートフォリオ作りを毎週やることで経験の記録の残し方がわかっていくことが、この授業が面白いと感じてもらえる1つのポイントかなと思います!

さてここで、自分が考えた今日のグループの力をポストイットに書いていきます。
そして、丸と矢印を活用してポートフォリオにまとめていきます。

さらに、今回は活動中の様子写真をシールにして配布しました。これをポートフォリオに貼り付けて、自分が活動していた時の気持ちや考えていたことのエビデンスとして使います。

最後に、先ほどつくった時系列&感じたこと考えたことの紙からポストイットを剥がして自分のポートフォリオで必要だと思う部分に貼り直していきます。

自分の経験を人に伝えるときに、面白かったんです、楽しかったんですということでは十分に伝わらないですよね。経験を人に伝えるときの難しさをこの先感じることが多くあるかと思います。そういうときにこれからここで学んでいくエビデンスの残し方が活用できるときがあれば是非使ってもらいたいです。今日の省察活動でやったことを簡単に振り返ると、まず最初にやったのは芸術表現体験活動で起きたことを時系列で書き出すということ。次に場面ごとの気持ちや考えていたことを書き出すということ。気持ちを最初に書き出してもらったのは、感覚的なものは小脳が握っていて、すぐに忘れられてしまうのからです。次に今日のポートフォリオ作りの切り口となっていたグループ力を考えてもらいました。そして、自分で考えたグループ力の概念を丸と矢印を使って構造化してもらいました。その概念って本当にあったの?って言われた時のためにエビデンスとして活動の様子写真を貼ってもらいました。最後にその時自分がどんな気持ちだったか、例えばどのシーンの時に自分はネガティブだったか。ネガティブな話が出てもOKです!!ネガティブだけれどもそこからこういう事がわかりましたとかこういう事に繋がりましたっていうことが言えればいいんです!なぜなら。それがリアルだからです。このようにして、リアリティのあるものを作っていくということを道具さえあればできるということを経験してもらいました。

自分が実際に経験したことって強いインパクトがありますよね。それを他者にうまく伝えられるようになってもらえたらと思います!

次回は勝部ちこさん鹿島聖子さんによる芸術表現体験活動としてのコンタクトインプロビゼーションダンスワークショップを体験します!

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.5鹿島聖子氏/勝部知子氏によるダンスワークショップの体験と省察5月19日

本日のゲストはコンタクトインプロビゼーションダンスのアーティスト勝部ちこさんと鹿島聖子さんです。お2人はコンタクトインプロビゼーションの研究、普及、国際フェスティバル制作、教授活動、国際交流などを行なっている、日本では希少な国際派ダンスグループC.I.co. を結成されています。
今回は体育館を広々使ってワークを実施しました!ではさっそく、活動の様子を紹介していきます。

最初に勝部さん鹿島さんによるコンタクトインプロダンスを見せていただきました。

みなさんが思い浮かべるダンスというと音楽をかけて、振り付けをあらかじめ作って、それを繰り返し練習をして、質を上げて、発表するものというようなイメージがあるかと思います。また、動きを習う、揃えるものとして括られているものが多いですね。
ですが、「コンタクトインプロビゼーションダンス」は「コンタクト」=接触する、人と関わりを持つということと「インプロ」=即興、あらかじめ構成や演出、振り付けをせずその場で作るという意味があります。

今日は細かく分けて、8種類のワークがありました。

省察後に勝部さんと鹿島さんがワークについてお話をしてくださったのでその内容も交えて紹介していきます!

1、誰ともかぶらないタイミングで立ち上がる。
周りをよく観察して、自分の意思で立つタイミングを決めてもらうようにしました。

2、止まらずにとにかく歩きまわってみる
ポイント:歩けることを楽しむ
普段当たり前のように何も考えずに行っている歩くという動作ですが、突き詰めて考えるとすごく難しいんです。どういう状態で歩くといいのか、身体にどんな影響を及ぼすか、どんな作用があるかなど、毎日考えるチャンスはあるけど見過ごして、ただただ無意識に歩いていると思います。このワークでは歩くスピードを上げて、下げてという指示をしました。その時に周りの人が気になって人に合わせて動いていた人もいれば自分の意思で判断して積極的に動いていた人もいると思います。そこを考えてみるという点がこのワークの面白さの1つです。

・徐々に加速していく
ポイント:空間を広く使う、自分の道を作るイメージ

・徐々に減速していく→静止する
ポイント:「加速」「減速」という言葉から感じたまま自由に動く

3、身体を動かす、ストレッチ
・腕を振り、2回に1回膝を曲げる
・腕を振り、2回に1回膝を曲げる&片足あげる

・腕を左右に大きく振る
・股関節・手首・足首同時に回す
・肘を回す
・肩を回す
・首を回す
・腰を回す

・膝を回す
・背骨の体操
・「ここは自分だ」と思う身体の箇所を叩く
・前屈
・アキレス腱を伸ばす
・背を逸らしたり丸めたり

・足の付け根を伸ばす
・足全体を伸ばす
・伸び

4、リーダーとフォロワーを決めて、リーダーが出した手に向かってフォロワーが動く
ポイント:リーダーは好きなところに手を出す
フォロワーは時間をかけてもいいので好きな道を通ってリーダーが出した手までたどり着く

▼▼まずはデモンストレーションとして勝部さん、鹿島さん、学生2人の計4人でやってみました。

▼▼無理やり交わろうとせず、自分たちのやっている空間と他の人たちの空間が重なったらその人たちと関わってみます。

5、2人1組で、腕を取り合ったような状態からお互いに均等に体重をかけてバランスをとる
ポイント:体重差があっても釣り合いはあるので、釣り合いを探す
相手と同じ力で引っ張り合う
腕には力を入れない

6、2人1組で、空気椅子で背中を合わせたような状態からお互いに押し合ってバランスをとる
ポイント:勝ち負けはない、常に押す常に押されている関係を保つ
2時間くらいこの状態が保てるほどリラックスできていること

7、3、4人1組になり、入れ替わりながら身体を押し引きする
ポイント:体重を平等に掛け合って体勢を保つ

8、体育館の端に一列に並んで歩く
   ポイント:自分たちは全員で1つのほうきだと思って、言葉は使わずに速度を合わせて歩く
   ・立ち止まりたくなったら、自分ははきこぼしのチリだと思ってその場に止まる
   ・立ち止まりたくなったら、ポーズをとって立ち止まる
   ・立ち止まりたくなったら、ポーズをとって立ち止まるorその場で動き続ける

この最後のワーク、普こんなに明るくなったのは初めてで驚きました!とのことでした!

ここからは省察活動です!

まずは勝部さん鹿島さんより、今日のワークについてのお話です。

例えば、芸術作品とかダンスのように表現をするもの、他にも世の中の様々なものには意味やメッセージが込められて作られることが多いですが、即興は今この瞬間に出来上がっていくものなのでそこに意味やあらかじめこういう事を表現しよう、ということはないんです。その場にいた内的・外的な要因が融合されてできたある一定時間の現象であり、演じる側からも見ている側からも同じような解釈ということにもなりません。複数人パフォーマーがいるとしたら同じものを目指しているとも限らないし、それぞれの立場でその世界を見て、その時間を過ごしているんです。それは日常の会話と変わらないですよね。あらかじめ話題を決めて話すこともありますが、目の前にいる人との相互作用で偶発的に話題が生まれることも多いと思います。インプロも同じで、偶然沸き起こるものなんです!ということをお話してくださいました。

続いて、今日のワークで印象に残っていることや気づいたことを自由にポストイットに書き出した後、自分の書いたものをグループ内でプレゼンしていきます。プレゼンするグループは前回の田上さんのワークの時のメンバーです!

ここで、質問タイム!学生と勝部さん鹿島さんの間でこうしたやりとりがありました。
(学生)「見せるダンスという感じではなかったように感じた。普段舞台でやっている見せるダンスはどういうものなんですか?」

(勝部さん)普段は複数のダンサー、ミュージシャン、照明さんなどすべての人が即興で舞台を作るということを基本的なスタイルとしてやっているそうです。

(学生)「即興ではなく、舞台のために練習をすることはないんですか?』

(鹿島さん)「私たちが練習する時は即興の練習をします。または、練習なしでやることもあります。アメリカや韓国、日本の人が集まって明日ダンスをやろうということもあります。
出会ったその日に舞台をすることもできます。

(学生)「対人だけでなく、対物とのやりとりもあるんですか?」

(鹿島さん)「対人ではなく照明や音楽、お客さんの反応など対物が次の動きのきっかけになることもあります。関わりを持たないという関係性もあるということで、それでよしと決めている限りはそれが成立しないことはありません。」

(学生)「ルールはないんですか?」

(鹿島さん)「様々な人がいるので、一概にルールと言えるものはないですね。この人たちとやるときはこうで、あの人たちとやるときはこうで、というように自分たちが変化していきますね。」

授業で話をしている多面的な自己の話と、即興や他者に合わせるという話はどこかで繋がっているところがあると思います。例えば、家族に振る舞う態度、友達に振る舞う態度、就活の面接官に振る舞う態度などすべてが異なると思います。人間はいろんな状況に合わせることができ、コミュニケーションは非常に多様です。

この授業ではアートの分野を自分を考えることの手段として使っています。非日常の体験で即興的に表現することを求められ、つい自分が考えていなかったことが出てくることがありますね。このように、身体や即興という切り口からの学びがあることをこの授業を通して知ってもらいたいと思っています。

楽しいな、嫌だな、意外だななど身体的に感じることはみなさんの個性です。なぜそう感じるのかを考えることを通して、自分が何を当たり前に生きているのかがわかります。

自分の当たり前がわかることと同時に自分の当たり前ではないことに気づきます。それが多面的自己の発見につながるんです。これがこの授業の特徴です! これらが何につながるかというと、大学から社会(多様な価値観の中)に入って行くための準備になるんです。

さて、今日は振り返りツールとして語れる△(サンカク)を使います!

今日はみなさんにものをいじって考える、構造化して考えるということを体験してもらいます。ウォーミングアップとして、まずは語れる△を使って自分の好きなものを3つ挙げてもらいます。(例)「私(名前)は洋服とグレープフルーツとハンバーグからできています。(演繹的)」「洋服とグレープフルーツとハンバーグが好きな(名前)です。(帰納的)」といった感じです

語れる△を使って今日のワークで印象に残っていることや気づいたことをプレゼンするということをやりたかったですがここで時間が来てしまったので来週へ、、、つづく。

今日も180分お疲れ様でした!
来週は省察回です。

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.7上田謙太郎氏による映像制作ワークショップの体験と省察6月2日

本日のゲストは映像作家の上田謙太郎さんです。上田さんは慶応義塾大学を卒業し、東京藝術大学大学院映像研究科修士課程を修了しています。ドキュメンタリーの映像制作のかたわら、様々なワークショップの記録や青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムのeラーニングの制作等にも携わっています。「調律師とピアニスト」という作品で第7回松川賞を受賞し、第17回ゆふいん文化・記録映画祭(2014)で上映されました。

また、瓦の楽器としての可能性を追求するアートプロジェクトのpromotion videoの映像を担当されています。
https://www.youtube.com/watch?v=zGUEnubcAHA

今回は上田さんをお招きして芸術表現体験活動としてのメディア表現=コマドリアニメ映像制作を実施しました。ではさっそく、活動の様子をご紹介します。 最初に簡単なコマドリアプリの仕組みの説明を聞いて、実際に撮ってみるということをやってみました!

練習中のグループの様子。上田さんにコツを教わりながらいくつか試し撮りをしています。

練習後、各グループの中間上映会を行いました。

すでにアイデアたくさん出ているグループもあれば、この後の作品制作が期待されるグループなど様々でした。

ここで、本番の作品制作に入る前に上田さんからコマドリのポイント伝授!
途中でカメラの向きを変えたり、映画のカット割りを活用して枚数や角度を工夫したり、撮影ポイントを教えていただきました。また、撮影する人と撮影される人、近くで見ている人というコマドリ作品を制作しているときのグループの「情報の非対称線」の注意についてもお話がありました。情報の非対称線とは認知科学でいう情報の非対称性から派生した上田さん独自の考え方です。
これらのポイントを考慮し、作品制作スタート!

決められた時間に戻ってきたのは1グループだけで、ほとんどの班が時間を忘れて夢中で作品制作をしていましたね。
全グループが戻ってきたところで、作品上映会スタート!

タイトル:「うさぎとかめ」
うさぎが宙を舞うシーンが苦労したんじゃないかな〜と撮影風景が気になりましたね。
コマ数で早さを調節したり、かめがゴールするシーンでは瞬間移動をしたり、コマドリならではの手法を使って作品を作っていました。

タイトル:「無口な勇者と囚われの姫」
映像に独特のペースがあり、テンポよくお話が進んでいました!
アップで撮ったり、引いて俯瞰的に撮ったりと工夫されていました。

タイトル:「逃走完了???」
人が突然出現するというコマドリならではの手法を使って作品を作っていました。
手すりをワープ装置に見立てるというアイデアが良かったです。
みんなの表情が全力でとても面白かったですね!

タイトル:「黒板人間」
一定の時間軸で正統派コマドリ!1つ1つの動きがとても丁寧に撮影されていました。
黒板に書いた絵が人になったり、壁をすりぬけるという、コマドリならではの手法を使って作品を作っていました。

タイトル:「落ちる」
あえて横向きに撮って「高さ」を表現したり、途中で水たまりを使って「落ちた」ことを表現したり、
手元や足元のアップ、全体の俯瞰などカメラワークの工夫が非常にされていました!

タイトル:「最強のたけちゃん」
教室の中と外をうまく使ったことで、お話が大きく展開していましたね!
机や椅子といった普通動かない物が動くというコマドリならではの手法を使って作品を作っていました。

これまでの芸術表現体験活動では与えられたワークをこなすことが多かったですが、今日は自分たちで計画を立ててそれを実行、修正していくという活動だったので、受講生の持っているものの出し具合がいつもと違ってきていて面白かったですね。

さて、ここからは省察活動の時間です!
最近では高性能なカメラやタブレットPC 、スマートフォンの普及に伴いアーティストであるということを問わずして、写真や映像が日常の中に当たり前のように組み込まれています。元々、映像メディアの作品の特質は「複合」です。様々なものが掛け合わせて作品が出来上がります。例えば、「演劇」という要素と「映像」という要素が作品を生んでいくとか、他にも、動きの種類や照明など光の具合、編集作業など様々な要素が複合的に入っていますよね。これまではダンスや演劇など即興的にやっていく活動でしたが、今回のメディア表現では構成的に計画を立てながら他者と協働して作品を作っていき、様々な要素を組み合わせた結果が作品になりました。

今日の省察活動では後半にグループで「グループを考える」活動があることを念頭に置いて、まずは個人で活動を振り返ります。

これまでは感じたことや考えたことを主に出してもらって省察をしていましたが今日からはもう少し俯瞰的に見てもらおうと、いくつかの問いを用意しました。

今日は「問いに答える」という切り口で、いくつかの問いシールから好きなものを選んで、それに答えてもらいながら省察活動を進めていきます。問いを使って何を振り返るのかというと、次の3点です。「作品を振り返る」、「作品制作過程を振り返る」、「自分を振り返る」。好きな問いを選んでもらうといいましたが、ただやみくもに問いを選ぶのではありません。用意したいくつかの問いにはみなさんにとって「答えやすい問い」と「答えたくなる問い」があると思います。「答えやすい問い」と「答えたくなる問い」は一見同じに感じますが、みなさんには「答えやすくはないけれども答えたくなる問い」を選んでもらいます。答えたくなるものから自分の伸びしろを考えていきましょう!例えば、自分を引き出してくれる問いや自分の何かが際立つ問い、自分が見える・わかる問い。良い鋭い質問をされると、自分でも気づかなかった回答が出てくることがありますよね。こうしたことから多面的自己の気づきへつながっていくと考えています。

ほとんどの問いに「組み合わせ」というワードを入れてあります。問いは以下の17つです。

【作品を振り返る】

  • 1、「制作した作品の面白さはどんな要素が組み合わされてできていますか」
  • 2、「制作した作品はどのような創意工夫の組み合わせでできていますか」
  • 3、「1つの創意工夫がどのような組み合わせで生成されていますか」
  • 4、「制作した作品は成員を組み合わせて作られたとしたら、何をどのように調整していましたか?」
  • 5、「制作した作品はどんな雰囲気があったから生み出されたのですか?その雰囲気は何が組み合わされてできていましたか?」
  • 6、「制作した作品はどんな個性が組み合わされてできたのですか?」

【作品過程を振り返る】

  • 1、「制作した作品はどんなコンセプトが組み合わされてできたのですか?」
  • 2、「制作した作品はどんなんプロセスを経て生み出されたのですか?」
  • 3、「制作した作品のプロセスにはどんな個性の組み合わせがありましたか?」
  • 4、「制作した作品のプロセスにはどんな創意工夫の組み合わせがありましたか?」
  • 5、「制作した作品のプロセスにはどんな合意形成の組み合わせがありましたか?」

【自分を振り返る】

  • 1、「あなたの個性が出せる場面はどんな組み合わせによって生まれますか?」
  • 2、「あなたの創意工夫がどのような組み合わせで生成されていますか?」
  • 3、「あなたが夢中になるための組み合わせにはどんなものがありますか?」
  • 4、「あなたが納得できるための組み合わせにはどんなものがありますか?」
  • 5、「あなたのmotivationが高まる組合わせにはどんなものがありますか?」
  • 6、「あなたが需要される場面はどのような組合わせがありますか?」

このワークをなぜやるかというと、問われて答えていくことのプロセスの中に新たに自分を見出せるのではないかと考えているからです。これをまず個人で考えて、ポートフォリオにまとめていきます。(30分個人で考える時間)
何人かのポートフォリオを覗いてみました!

さて、個人で整理した後はグループで振り返っていきます!
どのように振り返るかというと、グループのキャッチコピーを作ってもらいます。なぜキャッチコピーを作るかというと、自分たちのグループのコンセプトや特質をワンフレーズで表せる力が重要だからです。ここでポイントとなるのは対比構造の考え方です。ものごとの対極つまり端(A)と端(B)、その間に答えがあるという考え方が社会に出てものごとを考えるときやアイデアを出さなければない場面で求められているからです。

各グループのキャッチコピーです!
「資本主義社会の申し子」
「+1」
「(originality)5」
「Lights in Black」
「傘を開けば笑顔の輪」
「HG(変顔)空を飛ぶ」
「貨物列車で海を渡る」

短時間で各グループ特徴的なキャッチコピーが仕上がりました!
今日もみっちり180分、お疲れ様でした。
次回は演出家増田敦さんによる芸術表現体験活動としての演劇ワークショップを体験します!

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.8増田敦氏による演劇ワークショップの体験と省察6月9日

本日のゲストは演出家の増田敦さんです。増田さんはワークショップデザイナー育成プログラムの13期生で劇団俳協(http://haikyo.co.jp/theatrical)に所属し演出家としてご活躍されています。最近では子ども向けのミュージカルなどを作っているとのことです。また、小学校や高校でコミュニケーション教育としてのワークショップや劇団員の方に向けたワークショップもされています。

今回は机と椅子を壁際において教室の中心を広く使ってワークを行いました。ではさっそく、活動の様子を紹介していきます。

まずは全員で円になって3種類のジャンケンゲーム!!

1種類目は負けた人が勝ちというルールの負けジャンケンです。

勝った人は嬉しい反応、負けた人は悔しい反応をします。

2種類目はあいこが出たらポイントが加算されるあいこジャンケンです。

3種類目はセブンイレブンジャンケンです。セブンジャンケンは2人でジャンケンをして足して7になったらポイントが加算されます。

イレブンジャンケンは3人でジャンケンをして足して11になったらポイントが加算されます。

次にトランプを使ったゲーム!!
ジョーカーを抜いたトランプを裏にして、1人1枚づつ配るので」、トランプを貰ったら他の人に見えないようにこっそり数字を確認します。実は数字はそれぞれの地位を表していて、数字が大きくなるほど、偉い人、強い人です!(13が最高で、1が最低)いろいろな人と談笑していきますが、その時に相手に伝えていいのは数字に見合うように自分で決めた職業と振る舞いだけで、数字を言ってはいけません。地位の低い順に時計回りに円になっていきます。

みんなが考えた職業は数字が小さい順に「ドブネズミ」「ホームレス」「ミジンコ」「乞食」「ゴキブリ」「バッタ」「農民」「すね毛」「平民」「日雇い」「フリーター」「バイト」「バイトリーダー」「コンビニの店長」「平社員」「正社員」「幹部候補生」「編集長」「社長」「課長」「部長」「大企業の部長」「代表取締役」「googleの会長」「お金持ちの大統領」など微妙に違った職業がたくさん出てきていました!職業じゃないものも、、、?!

メインワークの社長ゲーム!!
グループであるシーンを演じます。1人が社長役がイスに偉そうに座ります。周りに立っている人はその会社の社員だったり、そのグループの中では部下に当たる人たちです。
この4人で下記の下線部のセリフを自由に考える、演劇らしいワークです。
例えば、焼き肉チェーン店の社長と社員という設定。
社員A:(慌てた感じで)社長、大変です!
社長:(大きな声で)どうしたーー!?
社員A:(すごく困って)社屋が火事で燃えています!
社長:(大きな声で!)それはちょうどいい!
社員全員:(すごく大げさに驚いて)ええっーーーーー?!!といってざわつく。
社長:(自信を持ってはっきりと)ちょうどいいから、みんなでバーベキュー大会をしよう!
社員全員:(大きな声で)さすが社長!!!!(拍手パチパチパチパチパチーーーーー)

では早速やってみます!ポイントは楽しむこと、思いっきりふざけたものでもOK!
▼▼最初は携帯会社の社長と社員という設定です。
演劇のワークショップをやるのは2回目ということで演じることに慣れてきていて、表情や声、動きに細かい工夫がされていたり、恥ずかしがらず全力で演じきっていました!

▼▼次は苅宿先生と苅宿ゼミの学生という設定です。 「多面的な自己を見直そう!」というセリフが出てきていました!

次はヤクザの組長と組員という設定です。 どのグループも組長の態度がなんとも言えない悪さが出ていて良かったですね〜!組員も腰を低くして、組長を恐れる感じを出していて良かったです!

▼▼次はホストクラブの店長orオカマバーのママと従業員という設定です。
どのグループも男の子が自分の想像するオカマを演じていて、あちらこちらから高い声が聞こえてきて、とても面白かったです!

最後のワークはダブル逆境!逆転社長ゲームです!!
逆境をさらに+1してダブル逆境という展開を作り、より面白くしてもらいます!社員は1人1回ダブルの逆境を持ち込むので、社長はそのダブルの逆境を3回乗り越えなければいけません。下記の下線部のセリフを自由に考えて台本化し、みんなの前で発表します!

例えば、焼き肉チェーン店の社長と社員という設定。
社員A:(慌てた感じで)社長、大変です!
社長:(大きな声で)どうしたーー!?
社員A:(すごく困って)倉庫が火事です。あと、愛人がいることがばれて奥さんが離婚したいと言っています。
社長:(大きな声で!)それはちょうどいい!
社員全員:(すごく大げさに驚いて)ええっーーーーー?!!(といってざわつく)
社長:(自信を持ってはっきりと)ええい、面倒だ!ちょうどいいから、2つ合わせて焼いた肉を慰謝料として全部くれてやれ!
社員全員:(大きな声で)さすが社長!!!!(拍手パチパチパチパチパチーーーーー)

ここからは省察活動です!
省察をするとはやったことを思い出すことです。いつもこの省察の時間でやったことや印象に残ったことを書いたり、人に伝えたりしてもらったりしています。印象に残ったことと言っても、個々で異なるのでグループで意見交換をすると観点が違って面白い、なんてこともあるかと思います。
この授業では自分なりに学んでいくということを考えてもらいたいので、正解はこれだから覚えなさいという授業ではなく、自分のオリジナリティを引き出してくれるような学習とは何かというように、正解のない問題を探していけるように授業を組み立てています。例えば、みんなはこうしてるけど、自分だったらこういうふうにするな〜と思ってやってみることはすごく大事なことです!このように、自分のやったことを意味づける、自分にとっての納得解を見つけていくというのをこの授業ではずっとやってきました。

芸術表現体験活動には演劇=即興性、ダンス=身体性、メディア表現=構造性というようなそれぞれの特性があります。省察活動ではディスカッション、ポートフォリオ作り、デジタルポートフォリオ作りに取り組んでもらいました。これらの活動を通して、自分がどんなことができる可能性があるのかを考えてもらっていました。

ここでちょっぴり理論的な話PART1!!
この授業はダニエル・カーネマン(2014)の「ファスト&スロー」の理論に基づいています。
神経的で感覚的なものは小脳、記憶的なものは大脳を使っています。
授業の構造に当てはめると、芸術表現体験活動は小脳、省察活動は大脳を使っています。
例えば、さっきオネエになっていた人は自分が変わることをためらわずにできる特性を持っていると言えます。大脳を動かすこともぜひ受講生のみなさんにやってもらいたいんです。

やった後に振り返る作業をたくさんやればやるほど見通しが持てるようになるということが「Four Process」という理論で実証されています。この理論に基づいて、授業の中でいろんな活動を体験してもらって、小脳的に自分の持っている感覚をたくさん出してもらいました。そして、それを終わってすぐに大脳的に整理、意味づけをしてきました。これは今後社会に出て何かやるときに自然に工夫ができるようになるために必要な考え方を発見・定着するのに必要な授業構造であると考えています。

ではここで考えたいのは今日の増田さんの芸術表現体験活動で何を学んだと言えるのか。
自分にとってどんな意味があったのだろうかと考える、この感覚が大事です。
の授業の目的は何度も言いますが多面的自己の発見です。多面的自己とは自分にいくつものチャネルがあるという考え方です。しかし、自己を過小評価していたり、逆に過大評価していたりすると自分のチャネルを再認識することや新たに発見することができなくなってしまいます。

そこで、この授業は多面的自己の発見を目指して「関係性から学ぶ」、「他人を通して自分を知る」ということを演劇という学習内容、ワークショップという学習方法、グループワーク(グループ、ペア、個人)という学習コミュニティで進めています。

授業を通して、様々な状況へ自分を調整していくことを何度も体験することで、ある場にどう関わっていくかのやり方を自分の中に見いだすことができるようになります。つまりそこで、自分の行動特性がわかってくるんです。嫌だよって思うのも自分の特性だし、人にノルことも特性だし、人がやっているのを一緒にやるっていうのも特性、ノリがいい人が集まるとこんなこともできるんだなという発見があったらそれはグループの特性ですね。

ここでちょっぴり理論的な話PART2!!
「状況依存性」という考え方があります。コミュニケーションが対象者や周辺の環境、そこに生まれいている文化、文脈との相互作用によって変容するという意味です。この場だからできるということって誰でも必ずありますよね。やることは変わらないけど状況が変わるとやりづらかったりします。そこで、コミュニケーションを考える時には関係性を見ることが重要なんです。つまり、その場を俯瞰して見る力です。

ここで、苅宿ゼミの3年生が記録していたグループの俯瞰映像をプレゼンします!自分たちがやっていることを客観的に見るとどう見えるのか、ゼミ生の視点も借りながら自分たちの活動の様子を見返します。

俯瞰的に見る力は「メタ認知能力」につながっていきます!この授業でいう「メタ認知能力」とは自分が課題遂行者としてやっていることを自分でモニタリングする、これらを同時できている人はメタ認知能力があると言えます。例えば、自分が話をしながらもちゃんと人に伝わっているかな、どう言えば伝わるかなということを考えることができる、という人はメタ認知能力があると言えます。

ここからは30分間ポートフォリオ作成タイム!!

ブログを書きながら思い出し笑いをしてしまうくらい、個性あふれる発表が忘れられない!そんな回でした。来週はコンドルズのダンサー藤田善宏さんによる芸術表現体験活動としてのダンスワークショップです。

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.10藤田善宏氏によるダンスワークショップの体験と省察6月23日

本日のゲストはダンサーの藤田善宏さんです。藤田さんはコンドルズ(http://www.condors.jp/index.html)というダンスカンパニーに立ち上げ時から所属されていて、振付家やダンサーとしてご活躍されています。最近ではNEWSの小山慶一郎さん出演の舞台の振り付けや小栗旬さん出演の舞台の動き、韓流スターのPVの振り付けなどをされているそうです。教育現場などで子ども向けにダンスワークショップもされています。

今回も体育館でワークショップを行いました!
藤田さんはコンテンポラリーダンスというジャンルでご活躍されています。
活動の中で、藤田さんは身体を動かすコツをたくさん教えてくださいました!そのコツや解説も交えながら活動の様子を紹介していきます。

まずは前屈をします。
ぴったり床に手がつく人からつかない人まで様々ですね。そこで、他者の方に片手を添えてもう一方の手で前屈をすると、、、さっきよりも深く前屈が出来るようになります!人は前屈すると無意識に崖から落ちるような気分になり、その恐怖が脳に伝わっているそうです。そこで、他者の肩に片手を添えて前屈するとリラックスして前屈が出来るとのこと!

次は身体がやわらかいことを表す擬音語「ふにゃ〜」を声に出しながら前屈をしてみます。「ふにゃ〜」と言いながら前屈した後の受講生のみなさんのびっくりしたリアクションがすごくよかったです!オノマトペ効果と言って、口に出すことによって脳と身体が騙されるということがあるそうです。

ボクシングの人たちが「シュッシュッ」と言うことにも意味があるそうです。また、キャベツの千切りをするときに「トントントン」と言いながら切ると、リズミカルにきれいな千切りができるそうです。

▼▼〜おまけ〜
2人1組になって、お互い逆方向に力を加えます。
緊張した身体に負荷をかけると滑り現象と言って、筋肉が楽になって硬かった身体が柔軟になるそうです。

次は2人1組でストレッチ!
▼▼・肩を伸ばす

▼▼・脇を伸ばす

▼▼・背中を伸ばす

  ・首を回す
▼▼・手を大きく回す バタフライ 背泳ぎ

・右手バタフライで左手背泳ぎ
次は手で反動をつけてお尻を軸に1回転!
コツは床をしっかり蹴ることと設置面積を小さくすること。
右まわり、左まわりどちらの方がまわりやすいか検証しました!左まわりが難しい人が多かったですね!

次も1回転をするのですが、回り方が先ほどとは異なります。
体操座り→間に足を伸ばしてお腹を床につける態勢→体操座りの順で1回転します。
コツはずっと前の1点を見ることと手をクッションにして反動を吸収すること。

次は足の裏同士をくっつけた状態で座り、その態勢のまま1回転します。今度は途中で背中が床につくように1回転!
コツはまず肩を床につけることと最後起き上がる時に肘で膝を押すようにする。

〜おまけ〜
2人1組になって片方の人がルートをガイドしてあげると身体が覚えて出来るようになることがあるそうです! 次は手と足を左右に大きく開いた状態で1回転します。先ほどと同じように背中が床につくように1回転!

次は勝部さんと鹿島さんのワークショップの時にもやった手を取り合って、均衡を保つポーズ。コツは「ファイトー!いっぱーつ!」のCMで有名なあのシーンをイメージすることとその時に手を握るのではなく、手がストッパーになるように腕を掴むことです。

ここで、屈伸をしながら手を交互に入れ替えます。この後、これをレベルアップしていきます。
▼▼・「せーの!」という声を掛け合いながら手を交互に入れ替えます。

・「せーの!」という声は発さず、手の感覚で手を交互に入れ替えます。
   ・目を瞑った状態で「せーの!」という声を掛け合いながら手を交互に入れ替えます。
▼▼・目を瞑った状態で「せーの!」という声は発さず、手を交互に入れ替えます。

〜ここで5分休憩〜
次に、勝部さん鹿島さんの時にも体験した、2人1組になって前の人が倒れてくるのを後ろの人が支えるというワークの発展版をやってみます。最初、女子は少し怖いようで、膝が曲がってしまったり後ろを振り向いてしまったりすることが多かったですね。
倒れる側のコツは膝を曲げないこと、支える側のコツは足を前後に大きく開いて構えることです。

次は本を使ったワークです。ここからは演劇的な要素も入ってきます!まず2人組で1冊本を持ちます。(実はこの時用意した本は授業の省察回で出てきたメタ認知やモニタリング、省察、ワークショップ、アイデア発想法などの専門書、それに関する絵本など授業に関係する本を用意しました。受講生のみなさんが興味を持ってくれたらな〜と思って。)このワークでは1人が本を読んでいるのをもう1人が覗き見します。読んでいる側は嫌だな〜という雰囲気を出しながら相手に覗き見られないように方向転換をして本を読み続けます。

次も基本的には同じことをするのですが覗く側が本を奪います。そしてまた覗く側になった人が本を奪う、この繰り返しです。嫌そうに逃げて、と言われてもだんだん楽しくなってきてしまうんですよね。受講生のみなさんとても楽しそうでした!

本を奪う時の本を読んでいる人の肘を押すと簡単に頭の上から本を奪うことができます!意外と人の動きって甘いんです!

ここまでやってきた本を使った動きを好きなように組み合わせてランダムに動きまわります。この時、これまでぺアではなかった人の本を奪ってもOKです!!1人で5、6冊の本を持ち歩いている人もいました。いろんなルールが混ざると面白いですね!

次はペアを組み直して、1人がマネキン、1人がマネキンを自由に動かす人になります。マネキンを好きなように動かしたら、本を奪います。そうすると役割が交代になります。役割が交代した時のポイントは「あれ?私何しているんだろう?」という表情と動きをしてからマネキンを動かし始めることです!

マネキンの脇を持ち上げて座らせたり、立たせたり、足を引っ張って移動させたり、寝転がせたり、手を引っ張って起き上がらせたり、藤田さんが教えてくださったコツを様々な方法で動かします!

ここからは教室に戻って省察回です!!

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海

vol.11岡本夏海氏によるメディア表現ワークショップの体験と省察7月7日

本日のゲストは私、岡本夏海です。普段ブログを書いている時は青山学院大学社会情報学研究センター研究スタッフという立場ですが今回の芸術表現体験活動ではコミュニケーションエディターとしてワークを実施しました。
普段はALEプログラムという芸術表現体験活動と省察活動で構成されたプログラムを実施し、資質能力の発見・定着を目指す活動をしています。この授業もALEプログラムの構造と同じです!

では、活動の様子を紹介します。
今回が最後の芸術表現体験活動ということで、逆転時間アプリを使ったワークの可能性を探りたいと思い、受講生のみなさんにも協力してもらって挑戦的な活動を実施しました!
では、いきなりですが受講生のみなさんにはこんな質問をしました。「アイデアを出して、と言われた時にどうしてますか?あなたの頭の中では何が起こっていますか?」すぐに大量のアイデアが浮かぶ人もいれば、時間をかければアイデアが浮かぶ人、環境によってアイデアが出る、様々なタイプの人がいるかと思います。今日はアイデアが出る時の状況を意識して活動してもらいます。そして、自分がどんな要素によってアイデアが思い浮かんだのか、広がったのかという記録を残しておいてもらいました。

では実際に逆転時間アプリを使って映像を撮っていきます!
step1 時間の不可逆性の操作
時間の流れは不可逆であるという当たり前の概念がありますが、逆転時間アプリを使うとこの概念を操作することが可能です。この考え方をうまく使うと面白い映像を撮ることができます。

step2 動きのイントネーション
逆再生をすると普通にじゃんけんをして見えるような映像を撮ってもらいました。じゃんけんのリズムというのは小さい頃から身体に染み付いている人がほとんどだと思います。これを逆再生して普通の動きに見せるためにはそのリズム=動きのイントネーションを意識して変化させなければなりません。こうしたものは作品過程のプロセスにポイントがあり、無意識が意識化される経験をすることがます。

ここまではオブジェクト=逆転時間が持っている特質を作品にする考え方です。
ここからが挑戦したいこと。

step3 オブジェクトが持っている世界と他の世界を結びつけて新しい価値を生み出す。
オブジェクトとは逆転時間のことですね。逆転時間と他のものを結びつけてグループで新しい価値を生み出してもらいます。つまり、見たまま(逆転時間の特質)+α(??)=新しい価値(興味・関心・意欲など、、、??)ということです。今日は+αのところをことわざや四字熟語とします!逆転時間と好きなことわざや四字熟語を使って新しい価値を生み出してもらいます!今回は下記の3つのお題を用意したので、自分たちができそうなお題から取り組んでもらいました。

  • 1、「十人十色」という四字熟語を逆転時間という素材を使って表現する」
  • 2、「逆転時間でことわざや四字熟語の新しい解釈を作る」
  • 3、「逆転時間を使ってことわざや四字熟語を変形させる」

ではさっそくグループワーク開始!
まずはアイデアを練るところから。

絵の具を使って「十人十色」という四字熟語を逆転時間という素材を使って表現する」に挑戦中!

最後に作品をプレゼンし合いました。いつもは全体の前で行っていますが、今回は前後半に分かれて前半のグループがプレゼンしている間に後半のグループがプレゼンを聞きに行くというスタイルで行いました。どのグループも1回目と2回目のプレゼンの仕方を変更してより作品の意図や価値が伝わるようにブラッシュアップしていました。これぞ、モニタリングの力ですね!また、プレゼンを聞く側も質問をしたり、笑いや拍手が起きたり、「もう1回見せて!」と何度も作品を見るなど、それぞれのブースでプレゼンする側と聞く側の相互作用によって作品にまた新しい価値が生まれているところもありました。今回は挑戦的なことをやらせてもらいましたが、受講生のみなさんがこれまでの授業によって自然と築かれてきた学習コミュニティの強さが明らかに見えてきたことがすごく嬉しかったです!!!!

いつもはこれをやってみてね、というようにやるべきことが与えられてそれをやってみて考える活動が多かったですが、今回はやることもその意味や価値付けも自分たちで決めなければなりません。ここが今回の最大の挑戦ポイントです。すぐにアイデアが思いつくチームもあれば、なかなかアイデアが思いつかないチームもありました。ではなぜすぐにアイデアが思いついたのか、なぜなかなかアイデアが思いつかなかったのか。そこを深く考えなおしてもらいたかったんです。「グループ力」や「多面的な自己」、「自分の特性」ということについて授業の中でたくさん考えてきました。では、考えてきたものをどう使うのか、そこがこの授業が全て終わった後の受講生のみなさんへの課題であり、メッセージです。それをこの先ずっと、考え続けてもらいたいと思っています。

省察活動では映画「バケモノの子」のワンシーンを見て、このワークの意図を少し遠まわしに伝えました。私が願った通りのことに気づいてくれた人もいれば、また違った視点から意味を見出してくれた人もいれば、何をやっていたのかわからなかった人もいると思います。それも個人の特性です。ポジティブに受け取った人もネガティブに受け取った人も何も感じなかった人も、今日の活動で感じたことが自分に合う学び方を見つけるためのきっかけになってくれたらなと思います!

これまでたくさんの活動を体験してもらいました。何か印象に残った出来事、場面はありましたか?その時の気持ちを大切に、来週と再来週のプレゼン回で是非生かしてください!

社会情報学部附置社会情報学研究センター
研究スタッフ 岡本夏海