WSDとは?
大学でワークショップの
理論と実践を学ぶ
青山学院大学ワークショップデザイナー(WSD)育成プログラムでは、
ワークショップが必要とされる社会的背景と学習観の変容、
コミュニケーション論などを学び、実際にワークショップを体験します。
さらに、ワークショップを企画・実践し、振り返ることを通して、
理論と実践をつなげながら学ぶことができます。
ワークショップデザイナー®︎の必要性
ワークショップデザイナーとは、「コミュニケーションの場づくりの専門家」です。
「コミュニケーション」とは、身近なコミュニケーションから
地域・社会のコミュニティなど広い範囲を考えています。
「場づくり」とはコミュニケーションが促進される
コンテンツ(内容)、スペース(空間)、チャンス(出会い)をデザインしていくことだと考えています。
「専門家」とは、異分野や異文化の垣根を越境したり、横断したりして、つながりをつくり、
新しい価値観を生み出すことができる専門性を持った人を意味しています。
では、ワークショップデザイナーは、どんなことをする人なのでしょう。
それは、これからの社会を少しでも良いものにしていくため、さまざまな「協働」の結び目になる人です。
私たちが考えている「より良い社会」とは、
グローバル化、情報化、高齢化、などに対応できる、持続可能な多元的共生社会です。
時代の変化とともに複雑化していく社会の中で、「コミュケーションの場」の必要性は高まっていきます。
今まさに、人と人、コミュニティとコミュニティの「結び目」の機能を果たしていける、
「コミュニケーションの場づくりの専門家」としてのワークショップデザイナーが必要とされているのです。
ワークショップデザイナーは偉い先生でもなんでも解決出来るスーパースターでもありません。
しかし、ワークショップという手法を潤滑油として、場を通して考えていくことの可能性と限界を模索できます。
つまり、共に一歩を踏み出すことを試そうとするのがワークショップデザイナーなのです。
学校教育法にもとづく履修証明プログラム
履修証明制度とは、学校教育法第105条及び学校教育法施行規則第164条の規定に基づき、大学が教育や研究に加えてより積極的な社会貢献として、主として社会人向けに体系的な学習プログラムを開設し、その修了者に対して、法に基づく履修証明書を交付するものです。
本プログラムも、特色ある教育プログラムを作り、社会人等に多様な分野の学習機会を提供することを目指したものです。120時間の講座を修了すると、青山学院大学から学校教育法にもとづく履修証明書が発行されます。
正式名称
青山学院大学履修証明プログラム修了ワークショップデザイナー
Aoyama Gakuin Univ. Program Certified Workshop Designer
※ワークショップデザイナー(Workshop Designer)のみの記載でも問題ありません。
※取得した履修証明は履歴書や名刺に記載できます。
※履修証明書記入欄のある履歴書も発売されています。
※履修証明制度については文部科学省のホームページをご覧ください。
専門実践教育訓練給付金制度認定講座
本プログラムは、厚生労働大臣指定「専門実践教育訓練給付金制度認定講座」のため、
当講座を修了された方のうち、一定の条件を満たす方は、受講料の一定の割合額(最大70%)が「専門実践
教育訓練給付金」としてハローワークより支給されます。
支給額
受講料 248,000円に対して、最大173,600円支給
1、講座を期限内に終了した場合=124,000円(受講料の50%)
2、修了時に雇用保険の被保険者である場合および終了後1年以内に雇用保険に加入した場合=173,600円(受講料の70%)
3、2に加え、訓練修了後の賃金が受講開始前の賃金と比較して5%以上上昇した場合=198,400円(合計して受講料の80%)
※当該訓練講座の詳細は、明示書をご参照ください。
※専門実践教育訓練のご質問については、最寄りのハローワークにお問い合わせください。
また、詳細な制度説明とパンフレットについてはハローワークインターネットサービスのホームページをご覧ください。
※3の条件は2024年10月以降に開講の講座に適用されるため、本プログラムの場合は、2025年度受講生から該当します。
支給対象者の条件等の詳細はこちら
教育訓練給付金制度は、労働者や離職者が、自ら費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、本人がその教育訓練施設に支払った経費の一部を受給する雇用保険の給付制度です。
青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラムも社会人等に多様な分野の学習機会を提供し、キャリアップに資する特色あるプログラムとして、2016年10月より、教育訓練給付金制度(専門実践教育訓練)の指定講座に認定されています。
対象者
1:雇用保険の被保険者
専門実践教育訓練の受講を開始した日(以下「受講開始日」という)に雇用保険の被保険者の方のうち、支給要件期間が3年以上ある方
2:雇用保険の被保険者であった方
受講開始日に被保険者でない方のうち、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合には最大20年以内)であり、かつ支給要件期間が3年以上ある方
※上記1、2とも、当分の間、初めて教育訓練給付の支給を受けようとする方については支給要件期間が2年以上あれば可 (平成26年10月1日前に教育訓練給付を受給した場合は、その受給に係る受講開始日から今回の受講開始日までに、通算して2年以上の被保険者期間が必要)。
ワークショップデザイナー育成プログラムを
スタートさせた2人が語る:ワークショップデザイナーの社会での役割
“協働が習慣化する
社会の担い手として。”
“協働が習慣化する
社会の担い手として。”
- 青山学院大学 社会情報学部 教授
- 苅宿俊文
ワークショップデザイナーは「コミュニケーションの場づくりの専門家」を意味している。ここでいう「コミュニケーションの場」は、自分の当たり前と異なる当たり前を持っている人とのコミュニケーションの場のことである。つまり、ワークショップデザイナーは、異質な当たり前を結んでいく役割を持っている。しかし、異質な当たり前を結んでいくことは、とても難しい。それぞれの人が持っている自分の当たり前は無意識なものが多く、異質なものと出会ったとき、「遠慮という排他」「気遣いという同化」など、自らの当たり前を変えることなく異質な他者を変えていこうという意識のぶつかり合いが起きていく。
私たちはワークショップでそれらの課題をすべて解決できるというような、過大な期待は持っていない。それは、一人のカリスマ的なリーダーが一つの万能薬のような方法で何もかも解決してくれるという他力本願的な考えを持っていないということである。私たちは万能薬としてのワークショップは期待していないが、ワークショップの可能性を捨てているわけではない。なぜなら、「現場」という状況には、その「現場」ならではの課題や、課題そのものの場所(Local)や期間(Temporary)が限定的だからである。
そのLocalでTemporaryな課題には、それにフィットしたワークショップをデザインする必要があり、フィットしたワークショップは、課題の解決に効く場面がある。それがワークショップの可能性なのである。
これからの社会では、社会や産業の構造が変化し、経済的自立を果たすために複数の組織やコミュニティに参加していくことが求められていく。そこでは、地縁、血縁、組織縁だけではなく、志縁、偶発的な縁などいろいろな種類や規模の多様な価値観を持ったコミュニティが共存することになる。そして、人々が互いを認め合ったり、支えあったりする関係が重要になっていき、解決すべき問題ごとに複数のコミュニティや個人が協力してユニットをつくっていくようになる。それを協働と呼び、協働が習慣のようになっていくことが求められる。この協働の習慣化のために、ワークショップデザイナーには、さまざまな共同体の内外でコミュニケーションの場を提供していくことが求められていく。
その一翼をぜひみなさんに担ってもらいたい。
“勇気と謙虚さの
矛盾を受け入れる。”
“勇気と謙虚さの
矛盾を受け入れる。”
- 劇作家・演出家・青年団主宰
- 平田オリザ
この「ワークショップデザイナー(WSD)育成プログラム」が、これほどの発展を見せるとは、正直、思ってもいなかった。
今でこそ、多くの方が口コミで内容を知ってから受講するが、初期には、「もう少しきちんと教えてください」という声をいただいたこともあった。ここで言う「きちんと」とは「体系的に」ということなのだと思う。
クライアントの立場の人々(企業の人事担当や行政の管理職)と、コーディネーターを目指す人々(アート系・教育系のNPOや、公共文化施設の職員)、ファシリテーターを目指す人々(アーティストや教員)が、渾然一体となって授業を受けることが、WSD育成プログラムの最大の特徴である。
体系的に「きちんと」教えようとするなら、これらのステークホルダーには別々のカリキュラムを授けた方が効率的だっただろう。しかし私たちは、その「効率」を求めなかった。
実際に、日本のワークショップの現場では、その是非はともかくとして、クライアント、コーディネーター、ファシリテーターが境界を曖昧にして仕事を進める。
一つの役割のためだけの知識では、ワークショップを運用できない。また、そうでなくても、お互いがお互いの立場を理解していた方が作業は円滑に進むし、相乗効果も生まれるだろう。
なによりワークショップとは、世界の混沌や不条理を効率よく整理するのではなく、解像度をあげて課題を鮮明に示すことにその利点がある。私たちを苦しめているものはなんなのか、私たちの悩みの実体はどこにあるのか、あるいは希望は?
簡単に言葉や形にならないものを、ワークショップは、時間をかけて共有していく。その共有のプロセスにこそワークショップの醍醐味があり価値がある。
本講座で目指されるワークショップデザイナーとは、そのような一筋縄ではいかない「世界」に対して、たじろがず、開き直らず、しっかりと向き合って、ワークショップをプログラムできる人々のことを指す。何より重要なのは、勇気と謙虚さである。その矛盾を受け入れることである。
沿革
- 2008年
文部科学省社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム事業を受託
- 2009年
青山学院大学・大阪大学の共同事業として「ワークショップデザイナー育成プログラム」開講
- 2010年
鳥取大学で開講
- 2011年
文部科学省社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム事業委託期間 終了
- 2014年
ワークショップデザイナー育成プログラム修了生 1000人突破
- 2014年
日本の人事部「HRアワード」プロフェッショナル教育・研修部門最優秀賞 受賞
- 2015年
グッドデザイン賞・グットデザインベスト100未来づくりデザイン賞 受賞
- 2015年
文部科学大臣認定「専門実践力教育プログラム(BP)」認定
- 2019年
ワークショップデザイナー育成プログラム修了生 2000人突破
- 2021年
オレンジコース、ブルーコース2コース制開始